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2022年発行の特許公報の概観

今回は、2023年1回目ということもあり、2022年に主要国で発行された特許公報について、これまでの経年変化と合わせてざっくりとみてみたいと思います。
まずは、2013年から2022年の10年間における、日本(JP)、米国(US)、欧州(EP)、中国(CN)、韓国(KR)の特許公報の発行件数を見てみましょう。

特許公報発行件数


目を引くのは、中国(CN)の件数の上昇度合いです。2013年には他国よりちょっと多い程度の84万件でしたが、2022年にはその約3倍の238万件となっています。
なお、中国は実用新案も多く出願されておりますが、上記件数は特許のみの件数となります。

CNがグラフに入っていますと、残りの4か国の経年推移が見えにくいため、CNを抜いてグラフを書いてみます。

特許公報発行件数CN以外

これで、残りの4か国も見やすくなりました。

米国(US)は、2022年は71万件となっており、2021年の70万件よりは若干回復している様子です。また、2013件から見ると増加傾向です。
欧州(EP)は、2022年は30万件で、2020年の33万件をピークに下降傾向です。
韓国(KR)は、2022年は28万件で、近年は増加傾向です。
日本(JP)は、2022年は43万件でした。2013年から見ると下降傾向であることは否めませんが、2018年以降ではもっとも多い件数であり、復調の兆しのようにも見えます。

次に、日本における技術分野の推移にどのような傾向があるのかをつかむため、筆頭IPCの経年推移を見てみます。

特許公報発行件数IPC経年推移

2013年からの推移を見てみますと、D:繊維,E;固定構造物はここ10年は変わらず低調です。
F:機械工学は、年々下降傾向です。
B:処理操作;運輸、C:化学は、下降傾向にありましたが、2022年で少し持ち直したようです。
H:電気は、2013年から2017年までは件数的にはトップでしたが、下げ幅も大きく、2018 年以降は2位に甘んじています。
G:物理学は下降傾向にありましたが、近年持ち直し、2019年以降は件数ではトップに来ています。
A:生活必需品は、多少下げた年もあるものの、微増ながら唯一上昇傾向にある分野です。

次に、2022年における、米国、日本、中国の筆頭IPCの割合を見てみます。

特許公報発行件数IPC経年推移JP
特許公報発行件数IPC経年推移US
特許公報発行件数IPC経年推移CN

3か国ともにG:物理学が一番多いです。米国と日本は、2位以下の順番も全く同じとなっています。
中国は、2位がB:処理操作;運輸であったり、A:生活必需品が5位であったり、日本、米国とは、少し傾向が異なるようです。

最後に日本における唯一の上昇傾向のA:生活必需品について見てみましょう。
「生活必需品」とはざっくりとした分野名ですが、具体的にどのような技術が含まれるのでしょうか。
A:生活必需品の中で、主なクラスを上げてみますと、A01は農業、A23は食品、A41は衣類、A61は医学、A63はスポーツ;ゲーム;娯楽となり、とてもバラエティに富んでいます。

そこで、Aの中で、どのクラスが多いのか調べてみますと、圧倒的にA61:医学と、A63:スポーツ;ゲーム;娯楽でした。

A61:医学について、2022年12月に発行された公報の要約でワードクラウドを生成すると、下記のようになります。

特許公報ワードクラウド


「画像」「測定」「情報」などのキーワードが大きく、医療機器関連の公報が多いことが見て取れます。
また、「医薬」「薬剤」「薬物」などの医薬品に関連する公報も多いようです。

次にA63スポーツ;ゲーム;娯楽について、2022年12月に発行された公報の要約でワードクラウドを生成すると、下記のようになります。

特許公報要約ワードクラウド


こちらは明らかに「遊技」が大きく、パチンコ等の「遊技機」の公報がとても多いことが分かります。

ここまで、2022年に発行された公報の概観についてざっくりとみてみました。
2022年発行公報では、件数では少し復調していることが見て取れ、また、IPCのセクションAについては年々増加していることが分かりました。
2022年発行公報は、出願は1~2年前のものですので、引き続きこの傾向が続くのかどうか、状況を見ていきたいと思います。
それでは、最後までご覧くださり、ありがとうございました。

弁理士法人シンシア・レター 福嶋 久美子

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